2014年4月号 <キーパーソン>

アレキサンダー・バード 氏

キーパーソン

フルモバイル対応で利用を加速
今下期に廉価版の国内投入も

米国セールスフォース・ドットコム
Service Cloud担当SVP&グローバルマネージャー
アレキサンダー・バード 氏

日本市場でも浸透するセールスフォース・ドットコム社のカスタマーサポート・プラットフォーム「Service Cloud」。同ソリューション担当責任者のアレキサンダー・バード氏に、現状とフルモバイル対応の新プラットフォームの特徴、廉価版の国内投入などを聞いた。

Profile

アレキサンダー・バード 氏(Alexander Bard)

米国セールスフォース・ドットコム
Service Cloud担当SVP&グローバルマネージャー

IT系企業4社の創業に携わった起業家。2011年9月にセールスフォース社が買収したAssistly 社のCEOを務めていた(同社ブランドは「Desk.com」に変更)。現在、Service Cloud担当SVP&グローバルマネージャーとしてカスタマーサービス・アプリケーションを統括。

──「Salesforce」を改めてSFAをはじめサポート、マーケティングなど各分野ごとのソリューションとして体系化し、サービス・サポート向けの「Salesforce Service Cloud(以下:Service Cloud)」を打ち出してから6年ほどになりますが、現況はどうですか?。

バード ソリューションごとの具体的な数字は申し上げられませんが、Service Cloudはここ数年間で大きく伸びて「Sales Cloud」(SFA)に次ぐ第2の大きなビジネスになっています。私はカスタマーサービス・サポート分野のシステム構築に携わって約20年になりますが、今ほどこの分野に大きな期待が持てる時期はないと思っています。サービス・サポート自体が大変革期でさまざまな軸が組み合わさり、まさに交差点です。軸とはソーシャルであり、モバイル、クラウド、そしてコネクティッドです。世界中がソーシャルでつながり、企業にとって顧客とのエンゲージメントの仕方が大きく変わってきました。また、モバイル革新も激しく、PCに変わりスマートフォンが主役になります。コネクティッドもしかりで、日常生活でさまざまなモノがつながり、これによってまったく新しい顧客接点やサービス・サポートの機会が生まれると実感しています。

──昨年11月、新カスタマープラットフォームとして「Salesforce1 Service Cloud」をリリースしていますが、セールスポイントは。

バード 通常のバージョンアップ(1年に3回のアップグレード)とはまったく別のプラットフォームで、最大の特徴はフルモバイル対応です。新規ユーザーはもちろん、既存ユーザーも従来のカスタマイゼーションをそのままキープしつつ無償で移行でき、よりリッチなアプリケーション展開やモバイル環境に完全対応できます。

今下期に廉価版投入で裾野拡大へ

──日本市場でも先進企業を中心にService Cloudの利用が拡大し、コンタクトチャネルのマルチ化が進んでいますが、一方ではチャネルごとに別個の運用で、電話チャネルのウエイトが依然として高い現状もあります。

バード もちろん、今後も電話チャネルが無くなることはないし、他のチャネルに移行し切ることはありません。ただし、電話に他のチャネルをオンすることで顧客との距離が一段と縮まり、機会は確実に増えます。また、コールセンター単体でも、新たなインタフェースやナレッジベース活用、クロスセル展開などの変革は起きています。こうした変革の波を確実に捉え、最適なソリューションを提供することが当社の仕事です。

──Service Cloudの料金は高いとも一部で言われていますが。

バード 既に米国ではService Cloudと共に中小規模ユーザー向けの「Desk.com」を提供しています。もちろんDesk.comもマルチチャネル対応ですが、機能を絞り込んだ分、料金を低く抑えて短期間で稼働できるソリューションで、日本市場にも今下半期(7月〜)に投入(日本語版)し、これによって幅広いニーズに対応していきます。