2015年2月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014>

山本 由香 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014

身をもって示し、権限も与える!
現場/会社の信頼を集めるマネジメント手腕

DHLジャパン
カスタマーコンタクトセンター副センター長
山本 由香 氏

Profile

山本 由香 氏(やまもと・ゆか)

2001年、DHLジャパン入社。入社以来、カスタマーサービス一筋で、カスタマーコンタクトセンターのエージェント、カスタマーケア(追跡部門)のエージェント・トレーナーを経て、2007年よりカスタマーコンタクトセンターのスーパーバイザーに着任し、2011年より同センターの副センター長を務める。

 KPI管理を徹底しているグローバル企業では、コンタクトセンターも例外なくシビアな目標管理を課されていることが多い。国際輸送大手のDHLジャパンも同様で、接続/コミュニケーション品質はハイレベルなKPIを設定、マネジメントの取り組みによる成果は常に可視化されている。

 山本由香さんは、そうした厳しい環境においてSV同様にチーム管理を行うと同時に、副センター長としてセンター全体の運営における意思決定にも関わっている。

 その行動の「軸」は“顧客中心主義”で、もはや信念に近い。例えばクレーム対応においても、粘り強く傾聴しながら共感を示し、単になだめるのではなく代替案を提示している。また、原因分析も行い、再発防止に向けてフィードバック、フロー見直し、社内外での情報共有を実施し、さらにそのプロセスを顧客にも報告する。こうした行動はエージェント(同社におけるオペレータの呼称)の模範となっており、理解度/成長度が加速するという成果も生んでいる。

役割は「火消し」ではない
中長期的な視野でリーダーを育成

 エージェント育成において、山本さんがリーダーとして果たしている役割は大きい。

 非正規社員が多いコンタクトセンターにおいて、「次のリーダー」の育成は極めて難易度の高い課題だ。とくに権限委譲はよく取り上げられるテーマだが、現役リーダーには勇気のいる行動である。山本さんは、品質向上を目的とした定期的なコーチング・面談だけでなく、エージェントにプロジェクトリーダーや新たな役割を与え、主体性と参画意識を向上する取り組みを主導、新たなリーダー育成にも積極的に動いている。

 山本さんは、「目の前の課題を火消し的にこなすだけではなく、中長期的に考えて適切なコーチングを実施できるように心がけています」という。こうした行動がエージェントの信頼を集め、高品質な対応に結実しているといえそうだ。

 また経営貢献活動も見逃せない。同社センターはインバウンドながらセリング活動も実施している。山本さんはチームを鼓舞し、例えば市場環境が冷え込んだ2012年でもアップセリング率を向上するなど、社内外におけるセンターの位置づけ向上につながった。社内全体で女性リーダーとして注目されたことでチームメンバーから憧憬される存在となり、より士気が向上するという効果もあったようだ。