2015年3月号 <キーパーソン>

マイケル・ミルバーン 氏

キーパーソン

金融、自治体から中小規模まで
拡大する「クラウド型」センター、日本にも進攻

米国セールスフォース・ドットコム
Service Cloud 担当 SVP&ジェネラルマネージャー
マイケル・ミルバーン 氏

セールスフォース・ドットコムのカスタマーサポートプラットフォーム「Service Cloud」は、顧客と企業が時間や場所にとらわれずコミュニケーションできる環境を構築する。同ソリューションの責任者であるマイケル・ミルバーン氏に、導入状況とカスタマーサポートの環境変化について聞いた。

Profile

マイケル・ミルバーン 氏(Michael Milburn)

米国セールスフォース・ドットコム
Service Cloud 担当 SVP&ジェネラルマネージャー

Salesforce Service Cloud 担当SVP及びジェネラルマネージャーとして、同製品の方針やイノベーションを先導。これまで、Service Cloudの戦略オペレーション担当VPとして、製品成長や拡張性、カスタマーサクセス実現のための事業組織策定を担当。

──Service Cloudの販売状況は。

ミルバーン 導入企業数は公開していませんが、非常に堅調です。オペレータ数千人を擁するヒューレット・パッカード社のコールセンターをはじめ、グローバルで多くの企業に採用いただいています。私は、20年ほどカスタマーサポート事業に携わってきましたが、企業のカスタマーサポートへの関心は、これまでにないほど高まっています。

 この背景には、スマートフォンの普及があります。これにより、電話やメールなどのコミュニケーションおよびWebサイトを利用した情報検索が、いつでもどこでも可能になりました。それが、もはや当たり前の環境です。顧客が企業のカスタマーサービスに、日常のコミュニケーション活動と同様の即応性を期待することは当然だと思います。

──テクノロジーの進展とともに、カスタマーサポートへのニーズも変化しているのですね。

ミルバーン 企業は顧客の問い合わせを迅速に処理することが顧客満足度向上の最大のポイントと考えています。しかし、こうしたカスタマーサポートを実現するシステムの導入には、従来は1年から2年の構築期間を要しました。構築期間が長期にわたることはビジネス機会の損失を意味します。クラウドサービスであるService Cloudであれば、数週間から数カ月で運用を開始できます。

──クラウドに情報をおくことに難色を示す業種もあると思います。

ミルバーン これまで個人情報保護の観点で抵抗感のあった生保や損保に採用いただく機会は着実に増えています。Eコマースやネットバンキングの浸透とともに、銀行での利用も今後増えると見ています。

 海外事例ではありますが、自治体の市民向けサービスにも利用されています。米・ペンシルベニア州のフィラデルフィア市では、モバイルデバイスを使って市民が簡単に情報を寄せられるサービスにService Cloudを利用しています。ほかにもいくつか事例があり、日本も含めたさまざまな国の自治体から関心が寄せられています。

──Service Cloudは主に大規模なエンタープライズを対象としてますが、中小規模の企業へのフォローはないのでしょうか。

ミルバーン 1ユーザーから利用可能な「Desk.com」を米国で提供開始しています。春には欧州、時機をみて日本にも展開する計画です。Service Cloudへの互換性も備えていますから、企業あるいは自治体の成長に併せて移行することも可能です。

 さらに、開発者向けにビデオサポートの組み込みが容易な「SOS-for-Apps」の提供も開始しました。これはデバイスアプリを問わずにビデオサポートを提供できるものです。今後も、テクノロジーの進展とともに顧客接点、エンゲージメントの仕方は変化していきます。当社は、その時々で最適なソリューションを提供し、企業の成長を支援していく方針です。