2015年6月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014>

藤澤 淳子 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014

現地採用スタッフから部長に昇格
“サクセスストーリー”の体現者

メットライフ生命保険
カスタマーサービス部 部長
藤澤 淳子 氏

Profile

藤澤 淳子 氏(ふじさわ・じゅんこ)

外資系消費者金融に20年勤務。長崎支店の支店長就任後は、支店運営に携わる。2003年3月、旧AIGグループのコールセンターオープニングスタッフチームリーダーとして入社。同年12月、通販保全センターのセンター長就任。2008年1月、神戸サイト立ち上げに伴い両サイトを兼務し女性社員の育成に注力。プライベートでは双子の子育てと仕事を両立してきた。

 地方拠点においては、マネジメント人材の育成が成否のカギを握るといっても過言ではない。ほんどのセンターが「地域に根差した運営」を志向する以上、現地採用の人材をいかに上級職に引き上げるかは、その後の採用活動にも多きく影響する。

 メットライフ生命保険の藤澤淳子さんは、2003年、同社(当時はALICO)が長崎に一大拠点を設置した際、オープニングスタッフとして入社した。コールセンター運営についてはまったくの初心者だったが、7カ月後にはセンター長に昇格。2007年にはカスタマーサービス部担当部長に就任し、長崎センターの責任者となった。2014年からは長崎カスタマーサービス部部長に昇格し、現地採用としてはじめての部長職および女性部長として活躍している。現地採用のスタッフからすれば模範かつ目標であり、モチベーションの源といえる存在だ。

定量評価と定性評価──
両立もたらしたバランス感覚

 同社のコールセンターにおいても、多くの生命保険会社のセンター同様、定量的なKPIマネジメントとコミュニケーション品質向上のためのQA(Quality Assurance)活動を両立している。藤澤さんは、この2つのバランスを重視した運営を推進。とくにQA評価には「おもてなしマインド評価」を導入するなど、全社で掲げる“顧客中心主義”を具現化する施策として高い評価を得た。

 「設立当初は、コールセンターのスタッフのロイヤルティやモチベーションもさほど高くはありませんでしたが、さまざまな施策を模索しながら実践し、外部コンテストでも高評価を得て、何よりもお客様から感謝の声をいただくようになった結果、全社的にコールセンターの重要性が認知されたと感じます」(藤澤さん)

 もちろん、KPIも大きく改善された。とくに退職率は長崎センターで1%台まで低下。神戸センターに至っては10%台だったものが3%以下まで改善している。生産性指標であるAHT(Average Handle Time)も、長崎・神戸両拠点で大きく短縮、最適化されている。

 藤澤さんがいわゆる「出世」したことで、同社センターのキャリアパスの有効性が実証された。キャリアの上限がSVで非正規社員から脱却できないというセンターが多いなか、こうしたサクセスストーリーが体現されていることはコールセンター業界全体から見ても価値が高いといえそうだ。