2015年7月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014>

木村 郁子 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014

勤務歴50年のベテランが明かす
“異文化コミュニケーション”の原点

NTTマーケティングアクト
東海支店 コンタクトセンタ部
名古屋コンタクトセンター
(NTT西日本外国語情報センター)
木村 郁子 氏

Profile

木村 郁子 氏(きむら・いくこ)

70歳。NTT関連企業での勤続歴52年。高校卒業後1964年旧電 信電話公社へ入社。名古屋市外電話局にて104番号案内に従事。その後、116電話受付センタにて課長代理、営業系課長を経て、5年前に現職の多言語通訳のマネージャーに就任。「真面目」「粘り強く」が信条。

 50年にわたりコールセンター業務に関わり、約30年間マネジメント業務を歴任してきたNTTマーケティングアクトの木村郁子さん。5年前に、現職の「多言語通訳センタ」のマネージャーに就任した。

 同センターは、NTT西日本からの受託で運用しており、電話およびインターネット回線に関する各種の問い合わせに、英語、ポルトガル語、中国語、スペイン語、韓国語で対応している。問い合わせ内容は多岐にわたり、複数部門と日本語でのコミュニケーションも必要だ。在籍人数は約30名、国籍も育った環境・文化も多様で、唯一の共通言語は日本語。「NTTという日本の独自文化色の濃い環境で学んできた、リーダー、マネージメント、コミュニケーションの手法を活かしてメンバーの成長をサポートできると思っていました」(木村氏)。ところが、着任当初に実施したES調査では“よくわからない”“話を聞いてくれない”“一方的”“押し付けられている”という不満の声が多くあがったという。

“反論”と“積極性”の違い
文化によって異なる価値基準

 「ひとくちに“異文化コミュニケーション”と言っても、本当にさまざまなケースがあって難しいものです」と木村氏は話す。日本の企業であれ反論や口ごたえと捉えられるような発言でも、他国では“積極的”と捉えられることもある。日本では常識という発言が“自分の文化を否定された”と捉えられることもあるという。異なる常識を持つもの同士がひとつの目標に向かって進むには、共有できる理念が必要だ。そこで、企業およびセンターのミッションを具体的な行動に落とし込んだクレドを活用。そのひとつひとつのメッセージにある、日本文化の背景を細かく説明し伝える取組みを積極的に行ってきた。

 また、自分の行動に対する相手の感情や意見を知らなければ、自分の常識のどこが相手にとっての非常識であるかはわからず、行動も変えられない。そこで、メンバーと定期的なミーテイングを行い、不満や要望をヒアリングしている。その他、外資系企業のマネジメント手法を学び、“聴く姿勢”“伝え方”にも日々工夫を重ねている。「相手の行動の背景にある文化や環境を多少でも知ることができれば、“なぜ思うようにいかないのか”という疑問やストレスも軽減されます。今後も、オペレータ個人の持つ文化的な背景と気持ちの理解を深め、異文化が共存できる活気のある職場づくりに注力します」と木村氏は意気込みを語った。