2015年8月号 <キーパーソン>

丸山 英毅 氏

キーパーソン

技術・人・システムの融合で
「ローコスト+α」の付加価値を訴求

TMJ 代表取締役社長
丸山 英毅 氏

2014年度は前年度比2ケタ増で着地、好調に転じているTMJ。新社長に就任した丸山英毅氏は、引き続き「クライアントのビジネスに入り込んで価値を提供する」という理念を掲げ、最新ITソリューションと人材ビジネスを組み合わせたサービスや海外拠点を活用したBPO事業に意欲を見せる。

Profile

丸山 英毅 氏(Hideki Maruyama)

TMJ 代表取締役社長

1968年4月、神奈川県生まれ。92年4月、ベネッセコーポレーション(旧福武書店)入社。2000年2月、TMJ(旧テレマーケティングジャパン)入社、営業統括本部本部長、第2事業本部本部長、取締役副社長などを歴任。2015年4月より代表取締役社長(現任)。

──リーダーが代わり、今後の経営方針に変更はありますか。

丸山 クライアント企業のビジネスに入り込んで事業成長に貢献していく「Client Value」という経営理念に変更はありません。アウトソーサーの役割として、まず期待されるのはコスト削減ですが、それだけでは価格競争に終始するだけです。付加価値を提供することで選ばれる企業になる。そこに当社の存在意義があると考えています。

──具体的には、どのように付加価値を提供していくのでしょうか。

丸山 最新技術を採り入れつつ、“人”にしかできない領域と組み合わせて付加価値を高めていきます。例えば、テキストマイニングを活用したVOC分析に取り組むお客様に対しては、「データ分析のプロの視点や経験」を合わせて提供します。技術・人・システムの融合が付加価値を創り出すということです。

 最近、話題を集めている人工知能(AI)を活用した顧客対応も、それだけではお客様満足を高めるのは難しいと思います。どうしても「お客様に寄り添う」というアプローチが必要なはず。AI技術を取り入れるにせよ、お客様との対話をスムーズに、より親身にするために最適なスクリプトを自動表示するなど、有人対応の支援という利用法を構想しています。

 また発話による、お客様やオペレータの感情解析技術の研究も行っており、相手の感情の起伏にあわせたコミュニケーションなど、さまざまな可能性について検証しているところです。

──人に寄り添うことでも付加価値を作りだすということですね。

丸山 以前より超高齢社会の到来を見据えて、東京大学や音声の専門家などと協同で“コールセンターにおけるシニア対応のあり方”を研究しており、徐々に成果が生まれています。今後はそうしたニーズが高まると予想しています。

──BPO事業でも付加価値を提供していくのでしょうか。

丸山 BPOに関しては、従来、中国大連に業務を出していた企業が、人民元の値上がりやカントリーリスクの高まりから、国内に業務を戻すという動きが続いています。この受け皿として、鹿児島にBPOセンターを開設しました。これをさらにローコストオペレーションするため、2013年にフィリピンのBPO企業と業務提携し、2014年からセブ島にてオフショアBPOサービスを開始しました。現地で英語・日本語のできるスタッフの増員をかけています。

──2014年度の業績は。

丸山 TMJ単体で306億円(対前年度比21%増)、グループ全体では327億円で終えました。センター事業で2013年に仕込んだ案件が売上寄与できるようになったこと、BPO事業が順調に推移したことが2ケタ成長の要因です。今年度から私の代になりますが、今後も新しい価値を提供し続けることで、クライアントのビジネス成功を実現し、成長を目指してまいります。