お客様相談センター発の提案で
「顧客の声」を重要視する文化を創る
エステー
マーケティング部門お客様相談センター
小林 彰 氏
Profile
小林 彰 氏(こばやし・あきら)
大学卒業後、1985年にエステー入社。東京支店を皮切りに、山梨、名古屋、横浜などで16年間、営業に従事。その後、社内公募プロジェクトを経て、10年間にわたって製造部門購買部に所属したのち、2012年4月よりお客様相談センターのセンター長。キャッチフレーズは、「あなたのハートを鷲掴み!」。
質問、意見、苦情。メーカーのお客様相談室には、さまざまな種類の問い合わせが入電し、オペレータは常に神経をとがらせて対応している。センター長や相談室長をはじめとしたマネジメントにとっては、それを支援する仕組み作りが大きなミッションとなる。
消臭芳香剤「消臭力」や防虫剤「ムシューダ」、除湿剤「ドライペット」など生活用品を開発・販売しているエステー。お客様相談センターは12名という少数精鋭で、小林 彰さんは2012年4月に着任した。
「ミッションである顧客満足度の向上を実現するには、オペレータ個々の電話応対スキルが不可欠ですが、そのためには適切・的確な回答や案内をするための仕組み、つまりマニュアルやFAQが必要です」と小林さんは強調する。着任早々、FAQを刷新、改訂。お客様相談システムの概要を設計し新システム「ひよこLine」導入をリード、現場の対応力向上に大きく貢献した。
小林さんの改善・改革に対するリーダーシップは、現場スタッフのマインドを少しずつ変えていった。「他社(異業種)のサービスに感銘したオペレータが、『ウチでもやりましょう!』と提案してくれて、即座に実施しました」というように、自然と「自社のサービスをよくしたい、顧客に満足してもらいたい」というマインドが醸成され、自発的な取り組みに結びついている。
顧客対応と同レベルの重要性
「申し出の“読み込み”」
小林さんが力を入れた活動が、VOC(顧客の声)活動だ。構築した新システム(ひよこLine)は、商品データベース、FAQの検索から応対履歴、さらにデータ分析までをひとつのシステムで実践できる。こうしたインフラを整備したうえで、VOCの有効活用に着手している。
「カスタマーセンターにおいて重要なことは、お客様対応とお客様からの申し出案件の“読み込み”」と強調するように、小林さんは読み込みのための専任スタッフも設置した。これらの取り組みが奏功し、製品のトラブルを大事に至る前に防止した事例もすでにあるという。
さらに毎週の役員会への週報、関係部署との月例報告会、製品安全・製造責任に関する委員会でVOCをフィードバック。報告の場では、ときに音声を聞かせることもある。「全社が顧客の声に耳を傾ける体制」の構築に大きな役割を担っている。