2015年10月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014>

牧野 英幸 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2014

ESなくして「おもてなし」は実践できない
全員の声に耳を傾ける姿勢を打ち出す

三井ダイレクト損害保険
センターマネージャー
牧野 英幸 氏

Profile

牧野 英幸 氏(まきの・ひでゆき)

俳優業をしながら、2000年から三井ダイレクト損害保険お客さまセンターに、派遣社員として勤務。その後、2006年12月に直雇用となり、東京本社での勤務を経て、2011年お客さまセンター松山のセンターマネージャーに就任。俳優業の経験をお客さま対応や人財育成に活かし、「楽しくしっかりと!」をモットーに日々奮闘している。

 コールセンターを分散設置する際、「2カ所目のセンターは、既設センターのマネジメント手法をトレースできるので軌道に乗るのも早い」と見られがちだ。しかし、第2センター、つまりサテライト拠点という位置づけに終始するあまり、マネジメントやスタッフに主体性が欠ける傾向が強いことも、マルチサイト運営のマネジメント課題として指摘されている。三井ダイレクト損害保険の松山センター(愛媛県)も、牧野英幸さんがセンターマネージャーとして着任する2011年までは、「SVやオペレータが新しい業務の取り組みを遂行することはほとんどありませんでした」という。

 牧野さんは、この“空気”を一変させるべく、「No.1コンタクトセンター」を旗印に掲げさまざまな取り組みを実践した。まず、オペレータとの面談とSVへのコーチング指導を徹底。2013年度は顧客に褒めてもらった事案をセンター内で共有する「感謝・感動の声」と、品質を数値化し具体的な向上を目指すことを目的に「品質指標シート」を定着させた。

 個別面談のほか、アンケートも実施。要望の多かった研修を企画・開催するなど、ESを軸とした改善活動を継続した。また、業務終了後にはSVとベテランオペレータの座談会を開催、これはのちに勉強会として定着するなど、スタッフ全体の自主性が飛躍的に高まった。

陣容拡大、経済効果も顕出
全社的な注目集める

 牧野さんが主導したESを基軸とした品質強化施策の数々は、松山センターの陣容強化に大きな貢献を果たした。

 2005年の開設以降、採用計画通りの要員確保と定着に苦労を重ねた経緯があったが、取り組みが定着してきた2013年度は計画以上の増員を達成した。牧野さん着任以前、45名だった陣容は2014年段階でほぼ倍増している。結果、東京の本社センターの業務を一部移管することができ、人件費削減に大きく貢献している。

 こうした目に見える成果によって、同社内での松山センターの強化策は大きな注目を集めた。オペレータやSVのモチベーション向上にもつながり、いまは「やらせるのではなく、一緒にやる、一緒に考える」という文化が定着。マネージャー、SV、オペレータ間の信頼関係が醸成され、各人の果たすべき役割が明確になるという効果も生まれている。