2015年12月号 <キーパーソン>

ジェリーン・ミラー 氏

キーパーソン

顧客サービスの“プロセス”改善を提案
クライアントのCX向上を支援する

コンセントリクス コーポレーション
シニア・バイスプレジデント
ジェリーン・ミラー 氏

グローバルでアウトソーシング事業を展開するコンセントリクス。日本でも全国各地の拠点で、さまざまなクライアントから業務を受託している。シニア・バイスプレジデントのジェリーン・ミラー氏は、「グローバル基準とローカルにおける親和性の両立を常に志向している」と強みを挙げた。

Profile

ジェリーン・ミラー 氏(Jyllene Miller)

コンセントリクス コーポレーション シニア・バイスプレジデント

グローバル企業でセールス、マーケティングの要職を歴任。コンセントリクスではコーポレート・マーケティングとリレーションシップ強化の戦略責任者として指揮をとる。

──グローバルにおける業績および、アジア市場の動向について教えてください。

ミラー 順調に推移しています。ほとんどの国で、市場成長率を上回る伸長率となっています。コンセントリクスは、さまざまな業種のクライアント企業のカスタマー・エンゲージメント構築支援をさせていただいていますが、とくに銀行・保険・テクノロジー・ヘルスケアの4分野にフォーカス、いずれも高い評価をいただいています。日本市場では、このなかでも銀行・保険・テクノロジー、とくにコンシューマ向け製品の市場に注力しているところです。

──日本市場では、とくにグローバル企業向けに強みを発揮している印象があります。

ミラー グローバル展開している企業のカスタマーサービスは、オペレーションの統一性が求められます。当社がCOPCをはじめ標準化に積極的に取り組んでいる成果といえます。一方で、各地域ごとのビジネス慣習などの特徴を捉えたローカルへの親和性も重視しています。日本市場ではとくに両方に対応しなければならないと認識しています。安定的な成長が期待できる地域と期待していますので、投資も積極的に行う方針です。

──市場でキーワード化しているカスタマー・エクスペリエンスやエンゲージメントの実践について、方針を聞かせてください。

ミラー 「お客様の記憶に残る瞬間」を重視することで、より良い関係性を築く取り組みが大事です。“記憶に残る瞬間”の構成要素は、(1)部門間の境界線を取り除いたプロセス、(2)顧客の手間を煩わせるステップの削除、(3)顧客体験を想像する、(4)顧客の意思決定プロセスの違いを考慮する、(5)顧客体験に知能を注入する──の5つと考えています。とくに、(1)については、グローバル共通の動きとしてフロントオフィスとバックオフィスの境目がなくなりつつあると感じています。サービスプロバイダとして、その動きに対応することが求められていると感じています。

 (2)〜(5)については、デジタル・サービスの拡大によるカスタマー・ジャーニーの変化を敏感に捉える必要があります。とくにアジア地域は、他のエリアと比べてもデジタル化がおよぼす変化は大きいと感じます。いかに顧客の手間を省くプロセスを構築するかという仕組みの提供が求められていると同時に、デジタル化によって強化できるアナリティクス機能も重視しなければなりません。

──アウトソーサーとして、そうしたクライアントの狙いを支援するためのポイントをひとつ教えてください。

ミラー 顧客満足やロイヤルティ向上を志向する現場では、常にイノベーションが求められます。そのイノベーションの多くは、実はトップダウンよりもオペレータやマネジメント担当者から発信されることが多いのです。それを促進するために、自律的な動きを促す人材マネジメントと「コンサルティング力」を磨く取り組みを進める方針です。