2015年12月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015>

佐久間 美奈子 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015

徹底した品質へのこだわりが会社を動かす!
正社員登用を可能とした新制度の旗振り役

三井住友海上火災保険
コンタクトセンター企画部企画チーム長
佐久間 美奈子 氏

Profile

佐久間 美奈子 氏(さくま・みなこ)

1991年に三井海上入社。1995年に始まった「新たな保険販売チャネルの検討」プロジェクトに参加し、三井ダイレクト損保の設立準備を経験。1999年の準備会社設立と同時に同社に出向となり2009年までの10年間を同社で過ごした後、本社に戻り、営業推進部を経て2013年よりコンタクトセンター企画部企画チーム長。

 今年度も開催した「コンタクトセンター・アワード」の個人表彰部門、「リーダー・オブ・ザ・イヤー」。類まれなリーダーシップを発揮した10名のマネジメントが表彰された。本号から開始する紹介コーナー、トップバッターは三井住友海上火災保険、コンタクトセンター企画部企画チーム長の佐久間 美奈子さんだ。

 年間150万件もの入電に対応するマンモスセンター。佐久間さんは、そのカナメに位置するコンタクトセンター企画部の中心人物である。

 取り組んだのは、徹底した品質向上へのアプローチだ。まず、接続品質についてはワークフォース・マネジメント・ソフトウエア導入をリードし、入電予測、シフト最適化、専任者の育成と設置を実施。応答率を大幅に向上させた。業務品質向上に向けては教育プログラム「コン企3年大学」を作り上げ、顧客からのありがとう率、顧客満足度のいずれも向上している。

高いCSは高いESから!
モチベーション向上施策に注力

 佐久間さんは、「品質改善、センター改革には高いスキルを持つスタッフの退職リスクを軽減することが早道」と判断。有期雇用スタッフの無期雇用化の必要性を訴えた。しかし、同社のような大企業での人事制度改定は一筋縄ではいかないケースがほとんどだ。

 それでも、人事部と粘り強い交渉を2年にわたって重ね、2015年には新しい職務区分である「コミュニケートエキスパート職」の新設にこぎつけた。これによって、これまでの1年有期雇用から60歳定年制の無期雇用が可能となり、賞与・退職一時金・休職制度・積立休暇・有給の出産休暇などが新設され、スタッフの将来展望が大きく開けた。当然、モチベーションが格段に向上している。あわせて「ES委員会」「スタッフ満足度調査」「永年勤続表彰」などの施策も展開。従業員満足度向上によるセンター全体の品質向上、顧客満足度向上に大きな貢献を果たしている。

 佐久間さんが主導したさまざまな取り組みは、外部の調査機関による品質・CS調査でも高評価をもたらした。HDI-Japanの格付け調査では三つ星を獲得、J.D.パワー アジア・パシフィックのコールセンター満足度調査でも損保業界トップ3に入っている。こうした成果もセンター全体のモチベーション向上につながり、さらなる品質改善への意欲を掻き立てるという好循環を生んでいるようだ。