2016年3月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015>

野上 真裕 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015

“現場発”の知恵を共有する仕組み作り
QC活動を企業文化に押し上げた立役者

TMJ
改善推進室 室長
野上 真裕 氏

Profile

野上 真裕 氏(のがみ・まさひろ)

メーカー勤務などを経て2005年入社。センター立上げ、SOP整備、生産性/品質向上施策の企画・推進、研修開発・講師、クライアント内の改善活動支援などに従事。2015年度より社会貢献としてQC関東支部京浜地区の幹事会社として参画、表彰委員として活動、2016年度はQCサークル本部認定指導員としても活動予定。

 コールセンターのマネジメントとは、業務改善の反復活動である。顧客接点であるがゆえに、社会情勢や消費者行動の変化といった外的要因、プロモーション活動や新製品発売といった内的要因に左右される変化の激しい部署だ。結果、たゆまぬ改善が求められ、とくにアウトソーサー(テレマーケティングエージェンシー)は、活動そのものを“仕組み化”する必要がある。

 テレマーケティング大手の一社、TMJの改善推進室の野上真裕室長は、製造業で馴染み深いQC(Quality Control)活動をコールセンターに応用。全社的な活動に進化・発展する原動力としての役割を果たした。

 さらに、改善活動から生まれた問題解決ツールの汎用化、共有などの水平展開できる仕組みを整備するなど、高い品質と人材育成の基盤作りを主導している。

ロケーションの壁を越える
情報共有の手法策定にまい進

 2006年6月、野上さんは「パフォーマンスNo.1」を合言葉にQCサークル活動をベースにした“小さな改善活動”を経営層に企画・提案した。しかし、全国各地に拠点が散在しているうえに、クライアント先の事業所で従事しているスタッフも極めて多く、情報・意識の共有は容易ではなかった。そこで、ブログや文書共有システム、Web会議などのテクノロジーを駆使したバーチャルな仕組みと発表会や表彰といったリアルな仕組みを組み合わせ、改善活動チームのプロセス全体を可視化。人材育成やCS/ES向上、離職率低下、キャリアアップする人材の増加など、さまざまな効果を生んでいる。

 5つのモデルチームからスタートした小さな改善活動は、継続的に支援・推進した結果、2014年度には263チームが活動。もはや同社の文化といってもよい。

 QC活動のようなボトムアップの改善において大きな課題となるのが「やらされ感」の払拭だ。もともと、コールセンターは企業活動の受け皿として機能することもあって、受け身型の組織になりやすい。野上氏は、「改善を常に意識することで、クライアント様の商品/サービスへの課題発見に対して前向きな姿勢で臨み、能動的に解決案を示すことができています」と取り組み成果を強調する。実際にクライアント企業内でも多数、表彰を受けるなど、契約の継続に大きく貢献している。