2016年4月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015>

中尾 佳代 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015

“パートナーと二人三脚で構築した
“御用聞き型アウトバウンド”の運用

サンスター
ベンダーマネージャー
中尾 佳代 氏

Profile

中尾 佳代 氏(なかお・かよ)

1992年サンスター入社。リテール部門の営業事務に配属。2001年BtoB受注センター立ち上げ、生産性・品質の向上施策、サプライチェーンマネジメントの構築に従事。2011年、アウトソーシングに向け、インフラ整備。2012年ダイレクト営業部に異動。現在、アウトバウンドマネジメントに至る。

 アウトバウンドを活用したセールス活動は、受注件数アップという経営貢献と、「顧客に嫌がられ、離反を促す可能性」の両刃の剣に近い業務だ。

 健康食品を中心とした通信販売ビジネスを展開しているサンスターの中尾佳代さんは、20年間、BtoBの受注センターでマネジメントを担当。その実績が高く評価され、ダイレクト営業部に異動、セールスアウトバウンドの舵取りを任された。

個人の成長なくして組織の成長なし
自社ポリシーを委託元に移植

 中尾さんに課されたミッションは「御用聞き型セールスアウトバウンド」の確立だった。センターの実運用は委託先(3社)なだけに、数十名のスタッフへの直接的な指示・命令はできない。中尾さんは、委託先とのリレーションシップをきめ細やかに行うことで、「電話をかけてきてくれてありがとう」と顧客に喜ばれるアウトバウンド構築に邁進した。

 具体的には、緻密なセグメントを施したリスト作りを実践。委託先と二人三脚でセグメントごとにスクリプトを構築・改善した。着任前の2011年当時のリストのプログラム数は10通りだったのに対し、2015年春には32通りにまで増加した。リスト数は約26万件から45万6000件弱にまで拡大した。その一方でクレーム率は1/5に減少し、売り上げに占める比率も伸びるなど、品質と経営貢献を一挙に実現するという快挙を成し遂げている。

 委託先のスタッフのモチベーション管理は極めて困難だ。中尾さんは、コミュニケータへのお礼や感謝を可能な限り当人に直接伝える機会を作っている。優秀者の表彰式やクリスマスのイベントには、手作りの表彰状など、ひと工夫を心がけている。また定期訪問の際は、朝礼や終礼の際に必ず挨拶し、さらに自社商品の説明会も自身で行うなど、現場とのコミュニケーションには、工夫を惜しまず時間的にも大きなウエイトを割いている。

 こうした地道な取り組みが奏功し、委託先のコミュニケータの離職率は大幅に低下。委託先では、サンスターの業務を担当するメンバーが高く評価されている。まさに、“win-win”の環境を構築したベストプラクティスといえそうだ。

 中尾さんは、「“個人の成長なくして企業の成長なし”という自社センターの志を共有しながら、ともに成長したい」と今後の抱負を語った。