2016年6月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015>

橋本 美詠子 氏

リーダー・オブ・ザ・イヤー 2015

スタッフの目標とされる教育者
現場/顧客目線を失わないリーダーの理想形

シャープ
お客様相談室 チームリーダー
橋本 美詠子 氏

Profile

橋本 美詠子 氏(はしもと・みえこ)

シャープ お客様相談室 応対品質管理・教育担当。社内外で階層別による導入および育成、教育指導。「新入社員研修」「電話応対研修」「ビジネスマナー研修」「クレーム応対研修」「コールセンター研修」等を実施。日本電信電話ユーザ協会「電話応対技能検定(もしもし検定)」の指導者。

 使い方・購入相談、修理受付。高機能化著しい家電製品のサポートは、何よりも「顧客目線」が重要だ。

 シャープのお客様相談室、チームリーダーの橋本美詠子さんは、入社後一貫して顧客対応の第一線で勤務。同社がCS強化のため統合コールセンターを構築した2006年からオペレータの品質管理、指導・教育の責任者として活躍している。「お客様の目線を失わないため、今でも月に1回は必ず電話を取ることにしています」という。

SVからメール対応責任者まで
階層ごとに教育を体系化

 橋本さんは、“人を育てる”という現在のミッションを課されて以降、さまざまな施策を実践してきた。オペレータ、SV、QC(Quality Control:品質管理担当者)、メール承認責任者という階層別の指導・教育体系とスキル管理の仕組みを確立。例えばSVには「現場対応力・現場指導力」、QCに対しては「研修・教育ノウハウ・モニタリング・コーチング」、メール承認責任者には「メール作成、添削スキル」などのプログラムを作成した。さらに応対品質を業務・技術・応対の3カテゴリに区分し、インプットした業務・技術知識スキルを“おもてなしの心”による対応スキルでアウトプットする姿勢を徹底した。

 同社に限らず、人材育成においては、現場のスタッフに対してわかりやすい言葉でコンセプトを具現化する必要がある。そこでこのインプット/アウトプットの姿勢を「正確・迅速・誠意・感謝・感動」という5つのキーワードで表した。

 橋本さんの指導力、顧客対応への意識と責任感、育成に対する姿勢は研修受講者の信頼感と安心感を育み、「橋本さんのようになりたい」と自己研鑽に励む社員も多いという。部門全体の挑戦意欲やモチベーションに大きな影響をおよぼしているといえそうだ。

 かつては、「私も後輩も、故障した商品や応対にご満足いただけず、さまざまなお叱りを受けてきました」と振り返る。そこで、まずは「応対に起因するお叱りを減らす」ことを目的に個のスキルアップを成し遂げるための教育を勉強、前記のように実践してきた。結果、取り組み当初に比べると応対起因のクレームは半減、保留時間を30%削減し、生産性と顧客満足の両立を実現している。

 また、日本電信電話ユーザ協会主催の電話応対コンクール全国大会には2012年から4年連続の入賞者を輩出した。社内のみならず社外にも認められたことでモチベーション向上につながったようだ。