2012年5月号<今月のキーワード>

今月のキーワード

今月のキーワード

ソーシャルメディア顧客対応

 TwitterとFacebookの利用者拡大が、企業と顧客の接点のあり方を変えつつある。

 この2つに代表されるソーシャルメディアの国内利用者は、のべ人数にして4000万人を超えた。企業も公式アカウントや公式FBページを設けて、キャンペーンやサービス/製品の告知に活用している。現在、これらのチャネルを管轄している部門は、マーケティング部や広報部であるケースが圧倒的に多い。

 ところが、ソーシャルメディアは単なるWebサービスではなく、「顧客接点」のひとつであり、消費者や顧客とのコミュニケーションが発生する。Twitterを例にとれば、公式アカウント向けへのつぶやきに対応するパッシブサポートと、製品やサービス、企業へのつぶやきを検索して能動的に対応するアクティブサポートという手段がある。いずれの手法にせよ、顧客接点である以上、「コンタクトセンターが担当すべきでは」という議論が巻き起こっているのだ。

 従来、いや現在もコンタクトセンターの主な役割は、マーケティングやセールス活動の“受け皿”である。マスメディアやWebサイトを中心とした消費者へのアプローチの結果、発生する注文や問い合わせに電話やEメールで対応する――というように、役割もチャネルもキレイに分担されている。

 ところが、ソーシャルメディアの場合、告知とコミュニケーションの場(スペース)がまったく同じなのだ。従って、プロモーションなどのマーケティングとコミュニケーションを担うコンタクトセンターの一体化――まで達するのは一足飛びには難しいだろうが、より強固な連携は絶対に必要となる。

 実際に、コンタクトセンターの担当者のなかにはソーシャルメディア対応において、マーケティング部門から「この場合はどうすればいいのか」とアドバイスを求められることもあるという。対応件数が多くなれば、この頻度はさらに上がる。結果的に、対応品質や回答内容の一貫性を保つためにも組織的な対応が要求されるため、もともと組織対応を得意とするコンタクトセンターがその役割を担うべきという見方は成り立つ。

 現場のマネジメント層は「負荷が重い」として敬遠する傾向が強いようだが、利用者が拡大すればするほど、組織対応の必要性は高まる。早い段階での準備が必要といえる。