2013年3月号 <今月のキーワード>

今月のキーワード

今月のキーワード

モニタリング

 コンタクトセンターのマネジメント業務で最も多くの時間を割いている仕事。それが「モニタリング」だ。

 オペレータの対応をリアルタイム、あるいは録音した音声を聞き返してチェックする業務で、主にスーパーバイザーが担っているセンターが多い。編集部が実施している「コールセンター実態調査」では、回答215社中、実に93%が「何らかの手段でモニタリングを実践している」としている。

 モニタリングは、主に(1)オペレータの指導・育成、(2)オペレータの評価(査定)、(3)クレームのチェック、(4)応対プロセス全般のチェックのために実施されている。チェックリストの内容は企業ごとに異なるが、なかには60〜70項目におよぶケースもある。

 オペレータ個々人の対応品質向上にとって欠かせない業務であることは間違いないが、有効に機能しているか否かは、センターによって差が大きい。その理由は、多くの場合「チェックの視点」にある。

 「チェック項目を多数設定しても、時間が経過するにつれて、結局はマナーとトーンのチェックに終始してしまう傾向が強い」と指摘する専門家も多い。もちろん、マナーやトーンが品質向上のうえで不要とは言わないが、最も肝心であるはずの「顧客が満足/納得したのか」という要素が無視されるようでは、そもそもの「品質の定義」に問題があると言わざるを得ない。

 モニタリングするコールの抽出についても、多くのセンターが「アトランダムに選択」としている。オペレータの指導のみならば、これでもある程度の本数さえカバーできれば可能だが、評価に関しては不公平感が生じる。応対プロセス全体のチェックは、コールリーズンやスキルグループごとに応対時間を判断基準としてチェックしない限り不可能だが、そこまで実施しているセンターは少数派だ。これでは、高額な投資をして音声録音装置を導入しても宝の持ち腐れになりがちだ。

 コールセンターも企業内組織である以上、「何のために存在しているのか、何を実現する組織なのか」という“ゴール”があるはずだ。そのゴールを達成するために何をチェックしなければいけないのか。モニタリングとは、本来こうした視点に立って業務設計すべきものであって、言葉使いなどのマナーやトーンだけを指摘すればいいというものではない。アウトソーシングしている場合ももちろん同様で、契約締結時、更新時にモニタリングの業務設計をともに行うことが重要となる。