2013年5月号 <キーパーソン>

小松健次氏

キーパーソン

コンタクトセンターを中核に
企業のバリューチェーンを支援

ベルシステム24 代表執行役社長CEO
小松健次氏

クラウドベースのコンタクトセンターの構築や、“対話力”を持った人材育成などでサービスの基盤強化を図るベルシステム24。ソーシャルサポート対応も積極的に推進している。今年3月、新たに代表執行役社長CEOに就任した小松健次氏に、今後の事業戦略を聞いた。

Profile

小松健次氏(Komatsu Kenji)

ベルシステム24 代表執行役社長CEO

東京大学大学院卒業後、1977年三菱商事に入社。主に化学製品領域を担当。1996年、GE International Inc.に入社。その後、数社で経営に携わり、2012年ベルシステム24入社。代表執行役副社長COOを経て、2013年3月同社代表執行役CEOに就任。

──現在のアウトソーシングの市場環境をどう捉えていますか。

小松 市場規模の数値上は微増という状況ですが、これまでご提案してきた範囲を超える高付加価値のサービスを求められており、それに応えることが当社の成長、ひいては市場の成長につながると考えています。当社は、コンタクトセンタービジネスを創出した先駆けであり、業界を長年にわたってリードして参りました。そして競争力のコアもそこにあると認識しています。コンタクトセンターを核とし、そこに付加価値を加えて、幅広い支援をしていく考えです。

──具体的な戦略は。

小松 クライアント企業の成長に直接貢献できるソリューションとして、(1)インサイドセールス、(2)フィールドソリューション、(3)統合型コンタクトセンターを提案します。(1)はいわゆる営業支援です。従来からリストに基づいたアウトバウンドによる営業支援は行っていますが、これをより精鋭化します。具体的には、専門部隊を組織し、データやVOCを分析しながら、より確度の高い見込み顧客の絞り込みや売り込み施策を創出します。昨今、企業はコスト削減と同時に、営業分野の強化により傾注されているように感じます。そこに対して付加価値を提供できると思います。(2)は、電話ではなくフィールドに出るサービスです。多くの人員をマネジメントするノウハウを応用し、例えばWebコンテンツ用の写真素材収集やリアルでのマーケット調査などが考えられます。(3)は、電話だけでなく、メールやSNSなどのデジタルコミュニケーションを含めた、あらゆる顧客接点を集約した統合センターのご提供です。一元化される顧客データを元に、顧客接点の最適化もご提供します。

──SNSでのコミュニケーションとは現在注目されている、いわゆるアクティブサポートですね。

小松 それだけではありません。もっと上流のコミュニケーションのデザインも含みます。その企業ごとに、Facebookをどう運営していくか、Twitterをどう活用するかを設計・提案し、運営まで行います。これまでアウトソーサーのソーシャル対応はサポートが中心でしたが、徐々にブランディングやマーケティングのニーズも高まり、これにも対応しています。

──方針などに変更は。

小松 変更というよりは『進化』をしていきます。当社の強みである対話力は引き続き育んでいきます。この一般的に連想される応対の“品質”に加え、当社が構築したプライベートクラウドやコンタクトセンターの最適稼動を統制する集中管制センター「コマンドセンター」が提供する生産性・収益性の向上も“品質”であると捉えています。つまり“品質”という概念を『進化』させ、両輪で高い“品質”を提供します。そのうえでインサイドセールスやブランディング支援などバリューチェーンを広く線で捉え、ご提案することでクライアント企業のベネフィットを高める。その結果として当社の成長につながると考えています。