2013年10月号 <今月のキーワード>

今月のキーワード

今月のキーワード

稼働率

 オペレータは、出社して着台する際、必ず端末にログインするはずだ。稼働率は、そのログイン時間において、電話に出て、後処理をしている時間のウエイトを示したもので、生産性を測る指標として活用されている。

 稼働率のベースとなる「総ログイン時間」には、2つの考え方がある。休憩時間やトレーニング、ミーティングなどを含めた時間なのか、電話業務(通話、後処理、待機)に従事している時間なのか、という考え方だ。

 前者の場合、休憩やトレーニングで離席する際、その「アクション」を記録する電話システムが必要だ。すべての行動が一目瞭然に把握できるメリットがある反面、電話業務のみに特化したレポートを作成する際は、非電話業務の時間を除くという手間を要する。

 後者の場合、電話システムにログインするのは着台しているときのみというルールが前提となる。電話業務以外の行動が記録できないこと、さらにログインし忘れなどの人的ミスが発生しやすいといったデメリットはあるが、電話業務のみに特化したレポートは作成しやすい。

 どちらも一長一短だが、可能ならば前者の仕組みでレポート作成に手間をかけた方が正確なオペレータの行動管理ができるといえる。

 マネジメントの初〜中級者からの問い合わせで多いのが「稼働率の適正値」に関するものだ。経営視点でいえば、「稼働率は高ければ高い方がいい」と思いがちだが、それは間違いである。稼働率が高いということは、よほどリソースマネジメントの完成度が高くない限り「顧客を待たせている状況」が頻発している可能性が高い。顧客満足度に負の影響を与えているということだ。

 一般論として、「適正値は75%前後」と言われることも多いが、稼働率は呼量はもちろん、サービスレベルとセンター規模に左右される。つまり、同じ「15秒以内に90%にコールに応答する」というサービスレベルでも、20席のセンターと200席のセンターでは稼働率がまったく異なるということだ。当然だが、1人当たりの影響度が大きい小規模センターほど、稼働率は低くなる。

 「稼働率が高い中小規模センター」は、サービスレベルではなく放棄呼率(応答率)で管理しているケースが多い。放棄呼率は電話がつながるまでのプロセス(待ち呼の状況)まではトラッキングできないため、結果的に待ち時間を無視したマネジメントになる。オペレータにとっても顧客にとっても最適な状況とは言い難い。サービスレベルとの相関関係における適正値を導き出す必要がある。