2013年11月号 <Book Review>

コールセンターの組織力と戦略的運営

キャリア教育出版
5800円(税抜き)
ISBN978-4-907129-03-3

Book Review

運営者と経営者が知っておきたい
コールセンターの組織力と戦略的運営

石原康子 著

 コールセンターをはじめとしたカスタマーサービス組織のマネジメント経験が豊富な著者が、「センター業務の本質的な改善」を説く。

 トーンやマナーといった「型」にこだわるあまり、コールセンターという組織の「目的」を忘れたマネジメントが招く弊害を指摘したうえで、経営的観点でいかにセンターを運営していくか、具体的な方法論を示している。その範囲は品質の定義づけから人材育成、モニタリングまで幅広い。

 後半は、著者が実際にコンサルティングの際に活用している調査手法「SPT(Service Positioning Tracking)」を説明。これは、実際にコールセンターに電話をして組織として求める結果(ゴール)を出すためのプロセスレベルと会話のテレホンスキルを軸に測定する手法だ。ありがちな単なるマナーチェックのためのミステリーコールではなく、経営視点でコールセンターという組織を評価するための手法だ。すでに数社の大手企業が導入、高い評価を得ている。

 マネジメント経験者にしかわからないセンター運営のポイントが整理されている一冊。サブタイトルには、「運営者と経営者が知っておきたい」とあるが、マニュアル本にありがちな運営者だけでなく、「経営者」を含めたところにコールセンターを戦略拠点として活用して欲しいという著者の強い思いが感じられる。