2014年1月号 <キーパーソン>

桝谷 賢一 氏

キーパーソン

「フルフィルメント+BI」で対話を進化
高付加価値サービスベンダーを目指す

ディー・キュービック 代表取締役社長
桝谷 賢一 氏

旧・第一アドシステムが、NECネッツエスアイの子会社となったキューアンドエーの傘下に入り、ディー・キュービックとして新生した。以前より通販・マーケティング支援事業を展開してきたが、データ分析機能を強化し、より付加価値の高いサービスを提案・提供するという。桝谷賢一社長に事業戦略を聞いた。

Profile

桝谷 賢一 氏(Masutani Kenichi)

ディー・キュービック 代表取締役社長

神戸大学経済学部卒業後、1977年にNEC入社。2003年よりICT関係ビジネスユニットの企画本部長。2013年、NESIC入社と同時に、第一アドシステム代表取締役社長に就任。2013年6月よりキューアンドエー代表取締役副社長との兼務。10月より現職。

──今回の社名変更の背景は。

桝谷 2013年6月に旧・第一アドシステムの親会社であるNECネッツエスアイ(NESIC)が、コンタクトセンター事業基本戦略を発表しました。その中で、旧・第一アドは同じく子会社のキューアンドエー(QAC)の傘下に入り、NESICはICT基盤の強化を図る、センター運営会社2社はビジネス基盤を強化するというグループ一体の方針を掲げました。これに従い、QACが持っていたデータ分析機能を新会社に移管し、従来の通販・マーケティング支援事業をより強化して高付加価値のサービスを提供できる体制を整えました。

──具体的な体制は。

桝谷 旧・第一アドは、30年以上にわたり通販事業を行い、受注業務やマーケティング、フルフィルメントなどの豊富な実績とノウハウを持ちます。フルフィルメントとは、いわゆる受注・配送・決裁の物流関連だけでなく、クライアントの事業に絡む一切を指します。例えば、Webコンテンツ開発まで請けるケースもあります。一方、QACから移管したリレーションシップ・マーケティング(RM)機能は、いわゆるBIです。コールセンターに集まる顧客情報、購買情報、VOC、広告・販促情報などの各種データを分析・マイニングし、改善課題を捉えて科学的アプローチで次のプロモーションを企画・設計します。さらにコンサルティングレポートとしてクライアントや広告代理店にフィードバックしていきます。従来の通販部隊と分析部隊を融合させることで新たな付加価値を生む、これを社名に反映させています。即ち、ダイレクトマーケティング、データベースマーケティング、ダイアログマーケティングの3つの頭文字を乗算するという意味を持っています。

──ダイアログマーケティングとは、どういったものでしょう。

桝谷 対話・説得型のコミュニケーションを指します。これには2つ側面があり、1つは分析力を持ってエンドユーザーとワン・トゥ・ワンの対話を行い、最適な提案やアップ/クロスセルにつなげる。もう1つは、クライアントのやりたいことや真のニーズを聞き出しながら分析結果に基づいた最適なビジネス提案を行っていきます。

──通販に特化するのですか。

桝谷 主要事業ですが、他には多言語対応やヘルスケア対応の拡大を視野に入れています。今後の人口動態を考えれば少子高齢化で人口は減り、外国人労働者の増加も予想されます。その時に在日外国人へのサポートが必要になります。実際、官公庁は外国人からの問い合わせの増加で対応に苦慮していると聞きます。2020年の東京五輪では外国人観光客も押し寄せます。そこを支援していきたいと考えています。ヘルスケアでは、高齢者介護だけでなく、医薬品通販の拡大なども見込んでいます。

──専門知識が重要ですね。

桝谷 既に一部では多言語や医療系の業務を行っていますが、まだ規模は小さいです。今後は、より専門性を持った人材の採用・育成を行うべく準備を進めています。