2012年11月号<今月のキーワード>

今月のキーワード

今月のキーワード

リソースマネジメント

 入電するコール量に合わせて過不足なく回線と人材を配置する。入電するコールの種類に応じて、対応できるスキルを持つ人材を配置する。コールセンターにおける「リソースマネジメント」とは、この2つの要素を指し、どちらが欠けても顧客を満足させる品質は提供できない。また、あるいは現場に必要以上の負荷を強いたり、その逆にオーバースタッフィングで不要なコストを投じる結果を招く。
 最も重要なポイントは、「いついかなる場合でも目標とするサービスレベルを保つ」ことにある。サービスレベルとは「X秒以内にY%のコールに応答する」という目標値で、スタッフィングの計算に活用するアーランC式において欠かせない要素だ。「いついかなる場合でも」とは、コールの増減を問わず接続品質を維持するということで「予測呼量に応じた目標サービスレベルを満たすスタッフの時間帯ごとの算出と配置」がリソースマネジメントの最大のポイントとなる。
 従って、リソースマネジメントとは、(1)呼量を時間帯ごとに予測する、(2)目標サービスレベルを設定する、(3)(2)をもとに必要な人員数を算出する(休憩時間や研修など、非対応業務時間であるシュリンケージを考慮に入れる)、(4)シフト表を作成、人員調整する、(5)実業務、(6)予測と実際の誤差を管理する――といった手順を踏むことになる。多くの場合、マネージャーや経験値の高いSVがこれらの業務を担当しているが、きちんと予測したうえで科学的に人員数を算出しているケースはむしろ少なく、“経験と勘”に基づいてしまう属人的な業務になってしまっていることが多い。
 もうひとつ、必要となるのが「顧客がなぜ電話をかけてきたのか」というコールリーズン分析と、それに応じたスキル設定および人材育成だ。アタマ数だけを揃えても、顧客からのコールを解決に導かないことには意味がない。つまり、“量”だけではなく“質”を備えたリソースマネジメントが欠かせないということだ。
 「ムリ、ムダ、ムラのないコールセンター運営」は、マネジメントの理想形であり、実現できてはじめて顧客、従業員、経営のすべてが満足するセンターを実現できる。いわば、リソースマネジメントとはセンターマネジメントと同義語といっても過言ではない。このノウハウを身に着けず、いくら「CRM」や「エンゲージメント」、「おもてなし」などの高邁な理想や目標を連呼しても、絵に描いた餅同然だ。