毎日できるメンタル・ケア 第3回
勝手に決めつけない
著者:きゃりあす 奥 富美子
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「むずかしい言葉を知ってるのや、すてきな歌を歌えるのもいた。
そんな小人(こびと)には、みんなお星さまをくっつけていった。
お星さまをもらうと気分は最高。だけど、なんにもできないぶきっちょな小人もいた。そんな小人たちは、醜いダメ印をくっつけられたんだ」
『You Are Special たいせつなきみ』(マックス・ルケード作、一部漢字に変換して表記)という絵本の一節です。
エリという彫刻家が掘った「小さな木の小人たち」は同じ村に住んでいて、金ぴかのお星さまシールと醜い灰色ダメ印シールを持ち歩き、互いにこのシールをくっつけ合って暮らしています。
体中ダメ印だらけのパンチネロはある日、ルシアという何のシールもついていない木のまんまの小人に出会いました。金ぴかお星さまシールも醜い灰色ダメ印シールも、ルシアにつけようとすると落ちてしまいます。
「シールがつかない子になりたい」「お星さまやダメ印をくっつけあってる。あんなの変だよ」と思ったパンチネロは、ルシアに教えてもらったとおり毎日エリに会いに行くことを決意します。
エリは、パンチネロにこう言います。
「シールがくっつくようにしていたのは、お前自身なんだよ。どんなシールがもらえるかってことを気にしていると、シールのほうもお前にくっついてくるんだ。お前が私の愛を信じたなら、シールなんてどうでもよくなるんだよ」
「忘れちゃいけないよ。この手で作ったから、お前は大切なんだってことを」
本の最後は、「パンチネロは心のなかでこう思った。ありゃ、ほんとだぞ。そしてそのとき、ひとつのダメ印が地面に落ちた」で終わります。
私たちには変な評価癖があるかもしれません。
人のことを「~ができるからすばらしい」とか、「~ができないから、あの人はダメな人だ」とかのシールを貼っていないでしょうか。「お星さまシールやダメ印シールのくっつけ合いは変だ」ということに気づいていないのです。
「シールのつかない自分になる」と決意し、自分自身を肯定することが大切です。「私は私でいい」と考えるのです。それでも自分の力だけはなかなかそう思えないとき、他者から受けとる言葉や態度に応援されることがあれば、逆に力をそがれることもあります。
私たちは、職場で互いに応援し合う仲間でありたいものです。
お星さまシールやダメ印シールの代わりに「ありがとうシール」をくっつけ合うセンターにしましょう。
誰もが大切な人なのです。
「教えてくれてありがとう」
「さっきの電話で苦戦していた時、隣のブースから私を見てくれたでしょ。ホッとしたんだ。ありがとう」
「いつもニコッとしてくれるよね。その笑顔に救われる。ありがとう」
「ありがとうシール」はどんな色でどんな形にしたらいいでしょうか。センターで話し合って、さあ実践です。
(コンピューターテレフォニー2014年2月号掲載)
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