SVが放課後に読むハナシ第5回

コンタクトセンターの現場はまさに、戦場です。
コールが集中すれば、あっというまに現場の空気は緊迫し、SVはコールマネジメントシステムの画面を見ながら現場コントロールに追われます。
「ああ、お客様がすでに多数お待ちで、最長待ち時間が大変なことに!」
見渡しても、次にコールに出られそうなオペレータはいません。
今は特別にモニタリングが必要なコールもなさそうだし、このまま放棄呼になるくらいなら私が1本取ってしまおう――こんな経験はありませんか?
以前、私が所属していたコンタクトセンターはものすごくコールが集中してしまう時期がありました。
ときには、最長待ち時間が30分を超えることもあるほどでした。
電話を取った瞬間、待たされたことを理由に怒鳴られることもありました。
クレームが増えれば、現場の雰囲気は悪化します。
状況を察知して元気づけていくのもSVの仕事の一つです。
オペレータが頑張っている姿を見ていると、つい「一緒に汗水ながしたい」「連帯感を持ちたい!」と考えてしまうことがあります。
現場の大変さと達成感を共有すると、「今日もすごい忙しかったね。
でも、おつかれさま!」と声をかけあったり、業務終了後のビールも美味しく感じます。
私もSV時代に、あまりにも応答率が下がったとき電話に出てしまったことがあります。
センタークローズ前のピークタイムのことです。
「1本ならいいかな?」と軽い気持ちでコールに出ると、これが新鮮で実に楽しいのです。
ついつい、熱中してしまいます。久しぶりの電話対応が嬉しくて、にんまり。
テキパキできる自分に「いいね!」と自画自賛までする始末。
しかし電話を置いた後、オペレータにすぐ言われました。
「電話に出ないでくださいよ。俺らが困るじゃないですか。なにかあった時、誰を頼ればいいんですか」
がーん。
その通りでした。
久しぶりのコール対応で浮かれていた私。
またまたハンマーで頭をがつんとやられました。
電話対応で楽しかった気分は、みるみるしぼんでいきました。
管理業務から一瞬離れ、たまにコールを取れば、そりゃ楽しいものです。
毎日やってるオペレータからしたら、「たった1本うまくいったからって浮かれるんじゃないよ」と腹も立つものでしょう。
SVの役割はさまざまですが、「そこにいて、現場を見ること」がまず第一です。
それが管理というものです。
かっこいいウンチクは、また別の機会に語りたいと思いますが、シンプルにはこのことがまず大前提です。
今も、センターにお伺いしてヒアリングすると、オペレータからの不満で「SVが電話に出てしまって、聞きたいときに聞ける人がいないこと」というものが恒常的にあります。
皆さん、頭ではわかっているはず。
SVとしての自分の役割が何であるか。
コールが恒常的に混雑している状況なら、なおさらきちんと運営管理をして、数的分析をして改善していきましょう。
SVはコールに出てはいけないのです。
(コンピューターテレフォニー2013年8月号掲載)