今日から始めるメンタル・ケア One Point Lesson 第7回・最終回
「1/fゆらぎ」でリラックス
著者:きゃりあす 奥 富美子
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職場に「1/fゆらぎ」を導入してみませんか。
リラックス系CDの解説書をみると、「小鳥のさえずりや波の音など、α波を促す『1/fゆらぎ』を含んだ自然音を取り入れており、より高いリラックス効果が期待できます」と書かれています。
私が眠れずに困っているときに使ったのは「究極の眠れるCD」でした。
数年前、山本晴義先生(医学博士・横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長)にいただいたのは「予防のための音楽『うつ』」でした。
「うつの人はね、朝がつらいんですよ。だから、朝を気分よくできるように作ったんです。聴こうとしなくていいんですよ、流しておくだけで」と先生はおっしゃいました。
それはとてもさわやかな音楽で心地いいものでした。
そういえば、『ゆらぎの発想~1/fゆらぎの謎にせまる』(武者利光)にも「無視しようと思えば無視できるし、聴こうと思えばきける1/fゆらぎのメロディーは、いわば『空気のような音楽』」という文章があります。
「ゆらぎ」とは変化が不規則な様子で、そのひとつが「1/f」だそうです。
本を読み進めると、興味深い文章にたくさん出会いました。
原子レベルから大宇宙まで、1/fゆらぎがある。
ゆらぎがなくなるときは、生命が終わったとき。
自然界に存在するものでじっと静止しているものはなく、時間の経過とともに変化する。
人の感情や気持ちは変化する。
気持ちがゆらぐ、心がゆらぐ。心をまん中におきて、心を静かにゆるがせて(五輪書より)。
進化にはゆらぎが必要。
コールセンターでは、途切れることのない電話での対話が毎日繰り返されていますが、1つひとつの対話は、長さも内容も気持ちも、何ひとつ同じものはありません。
これも「ゆらぎ」なのかもしれません。
しかし、働いている空間は四角い部屋に規則正しく並んだブース、決められた動線、明るさ一定の照明です。
効率的に仕事を進めるためには当然のことですが、自然にはさからっている環境かもしれません。
コミュニケータはここで一日中PCを見つめ仕事をしているのですから、疲れるのも当たり前でしょう。
1/fゆらぎは、太陽の光、小川のせせらぎ、滝のしぶき、潮の満ち引き、木の葉のざわめき、風の音、木の年輪、畳の目、電車のゆれ、古い街並み、日本庭園等々、自然の中のさまざまなところにあります。
人間の心臓の鼓動、脈拍も1/fゆらぎです。
人工的に作られた職場ですが、1/fゆらぎを取り入て安らぎをもたらす空間をつくると、どんなことができるでしょうか。
廊下や休憩室、化粧室に1/fゆらぎの音楽をかければ、短い時間でもリラックスになります。
「休憩室のテーブルやいすをゆらいだ配置にする、植物を置く、手書きの文字や絵、自然の写真が目に入るようにする」などはすぐにできそうです。
「自分たちが働く場を、自分たちの手で快適なものにする」意識を持ち、いろいろと試してみたいものです。
(コンピューターテレフォニー2013年8月号掲載)
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