IDC Japan、国内中堅中小企業ユーザー調査を実施

 IT専門の調査会社、IDC Japan (東京都千代田区、竹内正人社長)は、国内中堅中小企業ユーザー調査を実施した。

 2014年度(会計年)のIT支出予算では、前年度から「増加する」(前年度比103%以上)と回答した企業の割合は43.0%と、「減少する」(前年度比97%未満)と回答した企業の割合17.6%を大幅に上回った。

 同社では、「アベノミクスによって、国内の経済情勢は回復しつつある。中堅中小企業においても、一部の企業では業績の低迷が継続しているものの、業績が回復し、IT支出を再開する企業が徐々に増加している」と捉えている。業績低迷のために凍結されていたシステム刷新が、2014年度以降に本格的に再開が予測される他、一部の中堅中小企業では、積極的な新規投資も増加が見込めそうだ。

 中堅中小企業が抱える経営課題としては、「売上拡大」を挙げる企業が最も多いが、「人材不足対策」「従業員育成」といった人材面に関する課題を挙げる企業が前回調査(2013年1月実施)よりも増加している。業績が回復に向かう企業が増加しているため、人材不足が深刻化。今後も人材面の課題解決を支援するITソリューションのニーズは高まるそうだ。

 全体的に明るい兆しが見えているものの、「中長期的にはサーバーの仮想化/統合化、パブリッククラウドの利用拡大などによって市場は縮小傾向に向かう」と予想しており、ITスペンディンググループ シニアマーケットアナリストの市村 仁氏は「ITベンダーは、多くの中堅中小企業抱える人材面の経営課題を解決するITソリューションを積極的に強化することが求められる。また、これらのITソリューションの円滑な展開を図るためには、ユーザー企業との信頼関係を強化する体制整備が重要になる」と分析している。