センターマネジメントの非常識(5)スクリプトやマニュアルは画一的な顧客対応になるだけなので全廃して自由にやらせた方がいい

 「コンシェルジュ」「おもてなし」がキーワード化されると同時に、マニュアルトークへの批判が高まりつつあります。もちろん、感情のこもっていない機械的な声でスクリプトを棒読みされて不快にならない消費者はほとんどいません。

 しかし、センターマネジメントを支援するRICコールセンター・キャンパス専任講師の熊澤伸宏氏は「画一的な応対や棒読みトークをスクリプトやマニュアルのせいにする時点で、そのセンターはトレーニングの甘さや方針の不徹底、オペレーションの一貫性が欠如している証明です」と強調します。

 マニュアルやスクリプトは、企業やセンターの方針、スタイル、オペレーションのモデルを具現化したもので、単なる「台本」ではありません。「徹底した教育によって方針、スタイル、一貫性などがすべて完璧にできて初めて、それらを手放すことが可能になるのです」(熊澤氏)

 そもそもコールセンターの対応は、“高いレベルでの平準化”が条件です。顧客にとっては、オペレータが新人だろうがベテランだろうが知る由はありません。平準化を実現するには、マニュアルやスクリプトは不可欠な存在で、それがあってはじめて「マニュアルを超えた対応」が可能となります。“脱マニュアル”を目指すことは、“マニュアルそのものの否定”ではないことを念頭に入れるべきです。