サービス産業生産性協議会が実施している「日本版顧客満足度調査(JCSI)」に携わっている青山学院大学経済学部の小野譲司教授による基調講演「日本最大のCS調査に見る『成長企業の条件とカスタマー・エクスペリエンス』」では、同調査のCS上位企業の業績や集客数などとの関連性を学術的に検証。「おしなべてほとんどの消費者が『ダメだ』というような会社は、日本のサービス業には存在しない。しかし、携帯電話のように顧客層の多様化が著しく、さまざまなニーズが混在する業種ほどCS向上は難しいのは事実」としたうえで、店舗数を絞り込んでCSも業績も再浮上したロイヤルホスト、就航路線数を絞りこんで成功したJALの事例をひも解き、「こうした施策も有効」と解説した。また、「携帯電話会社の場合、推奨意向が下がると解約率が上がるという相関性が見られる」など、単に収益性だけではない「さまざまなロードファクターを抽出、検証する必要がある」とまとめた。
特別講演は、ラーニングイットの畑中伸介副社長による「グッドマンの法則に見る『戦略的カスタマーサービス』」。ジョン・グッドマン氏が提唱する“クチコミの影響度の数値化”などについて具体的に説明した。
ユーザー事例講演は、「NTTぷららが語る、ウェブサポートにおける より良いカスタマー・エクスペリエンスの提供とは」。同社のサービス本部 コンシューマ営業部の中村 治樹デジタルマーケティング担当 部長とオウケイウェイヴの佐藤哲也取締役が登壇。Web-FAQの活用手法など、インターネットを介したカスタマー・エクスペリエンスについて対談形式で解説した。
最後は、編集部が主宰する「5年後のコンタクトセンター研究会/カスタマー・エクスペリエンス分科会」の構成メンバーによるパネルディスカッション「ロイヤルティを高める『カスタマー・ジャーニー』の創り方とコンタクトセンターの役割」。同分科会のリーダーを務めるISラボの渡部弘毅氏による講演と、ベルシステム24の大貫 竜平マネージャー、ラーニングイットの畑中副社長、消費者の声研究所の増田 由美子代表によるディスカッションが行われた。