ガートナー、日本企業のCX取り組み状況の調査を実施

ガートナー ジャパン(東京都港区、以下ガートナー)は、国内におけるカスタマー・エクスペリエンス(CX)の取り組みに関する調査結果を発表した。

ガートナーがCIO(Chief Information Officer)を対象に毎年グローバルで実施している「2019年CIOサーベイ」によると、日本企業はグローバルの先進企業に比べ、CX改善のための取り組みにおいて遅れをとっていることが明らかになった。具体的には、CX改善施策の件数は、グローバルの先進企業が4.3件、平均的な企業が3.3件であるのに対し、日本企業は2.2件という結果だった。



ガートナー「消費者エクスペリエンス向上のための施策の重点項目


さらに、CX改善施策に取り組むうえで実行する主だった施策のなかから、重点を置いているものを選択する設問では、日本のCIOの項目の選択率は、グローバルの先進企業のCIOに比べ、いずれも低かった。

別の調査では、「CXを推進する権限を持つ役員クラスのCXリーダーが日本には少ない」という結果もある。ガートナーが日本企業に対し、「CXの推進者」について質問したところ、「CXの取り組みを主体的に進めている役員やリーダーはいない/不明」と回答した割合が64.3%だった。ガートナーのアナリストでシニア ディレクターの川辺謙介氏は、「権限を持ったCXリーダーがいる企業では、そのリーダーシップによってCXの取り組みが進む一方、CXリーダーがいない企業では、明確な指針を示せず、思うように施策が進んでいないと考えられます」と推察する。



ガートナー「日本におけるCXの推進責任者」


川辺氏によると、CXへの取り組みを進めるには、CXリーダーによって、「カスタマー・ジャーニーを通じて重要なCXを特定する」「社内の各ステークホルダーに働き掛け、CXに影響する社内プロセスを改善する」「顧客データの収集・分析によりインサイトを生成し、CX施策の効果を測定する」「社内の各ステークホルダーに『顧客の声』を伝達するなど、全社に及ぶ責任を持つ」ことが求められるという。一方、デジタル・テクノロジの発展が顧客に与える影響も大きい。今後、CIOをはじめとする情報システム部門のサポートも不可欠と指摘している。