クラウドに対する施策は、おおきく2つに分かれる。まずは、サービスプロバイダ向けに提供している「パートナークラウド」および、自社で構築した「ASCクラウド」の強化を目的としたものだ。例えば、管理者、オペレータの「操作ログ」や、アカウント作成や保守・削除といった情報を自動的に反映できる「設定のプロビジョニング」を拡充した。クラウド環境において、よりセキュアかつスムーズな運用ができるよう、サポートしている。次は、クラウドパートナーとの連携だ。「具体的には、セールスフォース・ドットコムや日本マイクロソフトといったトップベンダーとの関係強化を推進しています」(コロマーCEO)。例えば、セールスフォース・ドットコムのカスタマーサービスプラットフォーム「Salesforce Service Cloud」との連携によって、顧客管理情報画面にASCの通話録音システムの操作画面を組み込むことで、同画面上にてデータの録音・再生・タグ付けが可能となった。これにより複数のシステム画面を立ち上げて操作を切り替える煩雑さを排除した。また、マイクロソフトの統合コミュニケーションプラットフォーム「Skype for Business」、将来的にはコラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」のコミュニケーション履歴を他のチャネルとともに統合管理できる。
オムニチャネル施策は、MS Skype for Business、Cisco Jabberに加え、WeChatに対応した。背景は、欧州で施行された法令「MiFIDⅡ(第二次金融商品市場指令)」「GDPR(一般データ保護規則)」により、営業記録や社内通話も含めた顧客情報を含むコミュケーションの記録が求められつつあること。業種や業態によっては日本企業も法規制の対象となるケースがある。近年、チャットアプリを使っての売買取引などビジネス様式の変化や、国や地域ごとに異なる普及割合の高いアプリに対応できるよう、チャネルの追加を進めている状況だ。