ミック経済研究所、IT関連市場におけるCRMの動向を調査

 情報・通信分野専門の市場調査機関であるミック経済研究所(東京都港区、有賀 章社長)は、IT関連市場におけるCRMソリューションの動向を調査した。

 これは、SI、SaaSベンダー、ソフトウエアベンダーおよびPBX/ACDベンダー55社を対象に、2011年度から2013年度までのCRM関連売上の実績値と予測値をベースに市場動向を分析したもの。2015年度までの中期予測もしている。

 同調査では、CRM市場を「システム・アプローチ」ごとに6つのソリューション(1.マーケティング・ソリューション、2.セールス/サービス・ソリューション、3.レコメンデーション・ソリューション、4.カスタマーサービス・ソリューション、5.ビジネスインテリジェンス・ソリューション、6.統合ソリューション)に分類し、個々のソリューションごとに、SI中心のITソリューションおよびSaaS市場のトレンドを集計・分析している。



 同社は以下のように解説している。

 SI中心のITソリューション市場では、経済不況の影響で投資意欲が減退し、ユーザー企業の投資を喚起する新たなソリューションも登場しておらず、伸び悩みを続けている。

 2012年度、コンタクトセンター向けのソリューションはリーマン・ショックの影響で延伸・凍結されたリプレース案件などが限界を向かえ、前年度の伸びを上回る伸び率で推移したが、多くは“単なる老朽化”や“保守期限切れ”による案件であることが多い。

 2011年度下期より、リプレース時期に入ったことで、2012年度はここ数年では最も高い伸び率となっており、2013年度まではその影響が残ると予測される。また、新ソリューション(ソーシャルメディアやスマートフォン及びタブレット活用 等)の確立にも時間がかかると見られ、2012年度を超える伸び率には至らず、中期的には厳しい市場と予想される。

 一方、SaaS市場については、ITソリューション市場と比べて市場規模自体はまだ小さいが、クラウドの普及と、「所有」から「利用」に移行するトレンドにより、各分野のSaaSベンダーは引き続き好調に売り上げを伸ばしている。

 2012年度のCRM総市場は、ITソリューション市場とSaaS市場を合わせて、前年度比102.2%の6534億円と微増。ITソリューション市場単体(オンプレミス型)では、前年度比101.4%の6174億円、CRM総市場に占める構成比は94.5%となる。SaaS市場は前年度比116.5%の360億円で5.5%を占めている。

 2015年度には上述この構成比が変化し、ITソリューション市場のウエイトが92.9%に減少、SaaS市場が7.1%まで高まると予測している。総市場規模は、2013年度以降、年平均成長率1.6%で推移し、2015年度には6862億円を見込んでいる。

 これらのデータは、「CRM実現のためのITソリューションマーケットの現状と展望 2013年度版」(A4版560頁のファイル製本で集計・分析編と主要55社個別企業個票を収録)でまとめている。価格はハードコピー版で19万9500円、ハードコピー+PDF版で24万1500円、CD-ROM(Word、Excel型式)版で39万9000円、ハードコピー版とCD-ROM版のセットで56万7000円。





CRM総市場 ITソリューション/SaaS別売上高推移(単位:百万円)